北海道大学医学部百年記念館が4月から着工しています!
本記念館は、北海道大学医学部創立100年記念事業として、札幌キャンパスの中央通りに面して建設されるものです。同窓会館として多くの教職員・学生同窓生が集い、気軽に情報交換が行われ、医学進展の歴史や研究成果等の情報を共有し、医学の基礎研究推進と知の共創の場として活用されることが期待されています。
本記念館のデザインは、同記念事業実行委員会と本学施設環境計画室の協議を経て、同記念事業実行委員会の依頼により、工学研究院建築デザイン学研究室の大学院生を中心とした学生グループが提案した複数の設計案から選ばれ、教員の監修によって実施設計案として纏められたものです。デザイン案の作製に先立って、医学部が創立された当時の建物写真・図版・記事など、文献調査を念入りに行いました。その結果、当時の医学部では、13条門から伸びる構内道路(現在の銀杏並木)に沿って、多様な形態と表情をもった先進的でユニークなデザインの木造建物群が、オープンスペースと共に整然と配置されていた様子を窺うことができました。
本記念館では、北大医学部の伝統と先進的な精神を表現するために、わが国の伝統的な木造建築のイメージを喚起させつつ、現代の建築技術を駆使し、道産の木材を主に使用した木造架構による開放的な空間のデザインを試みています。特に、4本組柱と、屋根を支える柱頭に、伝統的な寺社建築に用いられてきた「斗棋(ときょう)」の構法を援用した点が特徴となっています。2階の天井まで梁を介さず伸びるこの独立柱は、吹き抜け空間の上下をつなぎ、本記念館のシンポルとなります。この柱で支えられ南側に伸びる大屋根は、訪れる人をおおらかに迎えるエントランスとなります。北国の気候に対応し、快適な室内環境を担保する開口部の性能や設備を備え、意匠、構造、環境が一体化し、簡素でありながら存在感をもつ建築デザインとなることを目指しました。
建築デザイン学研究室
教授 小澤丈夫
【建物概要】
所在地 :札幌市北区北15条西7丁目
構造・規模 :木造2階建、建築面積638.32㎡、延床面積744.10㎡
調査・企画・設計期間 :2017年7月- 2018年10月
工事期間 :2019年3月- 9月
記念館として相応しいデザインを模索し、繰り返し図面や模型を作成し、設計のスタディを行いました。学生がクライアントに向けてプレゼンテーションを行なったり、設計施工会社や構造設計家との打ち合わせにも参加したりと、実務的な経験を多く積む機会となっています。
写真は現在医学部ロビーに展示されている模型です。