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医学部百年記念館 北海道建築賞受賞!

先日10月22日、第46回北海道建築賞作品が発表され、応募総数21作品のうち北海道大学医学部百年記念館が北海道建築賞を受賞しました!


研究室のプロジェクトが形となり、評価していただけるのは非常にありがたく、今後の励みになります。



(以下審査講評)北海道大学医学部の創設100周年を記念し大学キャンパス内に寄付 金によって建設された、木造2階建ての同窓会館である。1919年の医学 部創設以降、キャンパスを南北に走る骨格軸としてかたちづくられてきた 中央通りに面して、「同窓生を迎え入れるひとつの屋根」というコンセプトをもとに、集い交流する開放的な場がイメージされた。

建築のデザインは、空間全体を覆う木造の大屋根によって特徴づけられている。この屋根の下に、西側中央通りに面して人々が集う吹抜のエ ンドランスホール、隣接して東側には2層の諸室が収められた。木造ということもありスパンは長手方向4.5mと小さく親密なスケール感であるが、 耐力壁を巧みに隠しながら視線の抜けをつくり、どの場所からも大屋根 に覆われている_体空間であることを感じさせる。架構には道内産カラ マツ材を用い、大屋根は120幅の材を水平に重ね、またゲルバー梁によって継ぎ、さらに鉛直方向は120角材を4本束ねた組柱によってこの大屋根を支えた。住宅用の小さな部材を用いて汎用的な構法で組みあげること で、空間全体に固有の規律がもたらされた。これは設計プロセスにおけ る構造設計者との協働の成果でもある。このような木造の特性を活かし た公共的な空間は、新たな規範となるものであり、また北海道における 建築文化の向上という点からも高く評価されるべきものである。

外観は、建築と周辺との密接な関係を作り出すことで、強い軸である中央通りに従属することなく凛としたたたずまいがつくり出された。中央 通りに面する西面は水平力負担と適度な日射遮蔽を兼ねた独立壁が並び木に対峙するように構成され、また東面においては既存建築との間に適度な空地が確保された。短手方向の南面と北面は、大屋根の軒、吹抜け部の開口部、内部の木構造などの諸要素が整理されないまま表出しており、建築の構成、断面形を類推することを助ける。4面のファサードが 状況に応じて丁寧に作り込まれることで、この建築を中心としたシンボリックな風景が生み出された。広大なキャンパスにおける単体建築の在り 方として、優れたデザイン手法であることが評価された。


設計者は1990年代にオランダのヘルマン・ヘルツベルハー事務所に在籍し、大きな屋根架構に覆われた公共空間での人々のふるまいについ て、探求に関わった経歴を持つ。このことが後の作品に影響を与えており、特に「丘のまち交流館“bi.yell’'」(美瑛町/2015年)では、既存店舗 の上から大屋根を覆い住民の活動場所をつくる手法が用いられた。ここで見られた屋根架構のコンセプトが発展して本作品に結実した。

札幌市街地の中で独自に発展した北大キャンパスは、キャンパスマスタープランによって良好な環境が保たれており、また近年では歴史的資 産などの継承に重点が置かれている。この考えを尊重し、設計プロセス では過去の北大医学部の建築をリサーチすることで、木造建築の復活、 屋根形状の抽出など基本となるコンセプトが導かれた。大学の歴史を受 け継ぐこの建築は、近い将来には歴史的資産となって永くキャンパスの価値を高めつづけるであろう。

(文責:加藤誠)






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